昨今、建設・住宅業界における大工不足が深刻化しています。平成12年(2000年)に647万人いた大工就業者数は、令和2年(2024年)には約30万人と、実に20年間で半減しているのが現状です。大工技術の伝承が途絶えつつあることによって若者の大工志望者が減少し、技術者の高齢化も課題となっています。自社や業界自体を存続させるためにも、早急に対策を講じることが必要不可欠です。
そこで今回は、
・大工不足の真の理由
・大工不足の解消法と実践策
・外国人労働者の雇用とその課題
・教育制度と育成のあり方
を中心にご紹介します!
是非最後までお読みください。
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なぜ大工は不足しているのか?
そもそも、どうしてこんなにも大工は不足しているのでしょうか?
背景として、主に以下の3つが挙げられます。
大工職が不足している背景
・大工という職業への価値観が低下
・大工の技術や知識が次世代に伝わりにくい
・技術者の高齢化
まず、若者の間で大工という職業への価値観が低下していることが挙げられます。よくいわれているのが大工職は「きつい・汚い・危険」の【3Kイメージ】です。肉体労働や不規則な労働時間、安定していない雇用条件といった悪いイメージが先行し、若者の大工志望を抑制しています。
さらに、大工の技術や知識が次世代に伝わりにくい状況も影響しています。技術の伝承が途絶えつつあることや、教育機関と業界との連携が不十分であることが大工不足を助長しています。
加えて、高齢化社会に伴い、大工をはじめとする建築関連の職種で働く技術者の高齢化も大きな課題となっています。これらの要因が重なり合い、大工不足を引き起こしていると言えます。
大工不足がもたらす建築業界への影響
では、そんな大工不足は建築業界にどのような影響をもたらすのでしょうか?
・住宅の品質の低下や工期の遅延
・労働環境の悪化や労働者の負担増加
まず、技術の伝承が途絶えることで、住宅の品質の低下や工期の遅延が生じる恐れがあります。そうなると住宅需要に対応できない状況が続き、ただでさえ競争力の激しい市場のなかでの経済的損失が懸念されます。
さらに、人手不足によって労働環境が悪化し、建築現場での事故や労働者の精神的な負担増加が懸念されます。
このような状況下で建築業界が持続的な発展を遂げるためには、大工不足の解消が喫緊の課題であるのは言うまでもありません。若手技術者の育成や教育制度の改善、労働環境の整備など、より具体的・総合的な取り組みを見ていきましょう。
若者を建築現場へ!大工不足の解消法
大工不足による悪影響が自社にも生じないように、以下の対策を講じてみましょう。
1.大工職のポジティブイメージの醸成
2.教育機関との連携の強化
3.大工職のポジティブイメージの醸成
大工志望の若者を増やすためには、まずはワークライフバランスのとれた業務形態やフレキシブルな働き方など、若者とって魅力的な働き方を提示しましょう。給与形態、時間外労働時間の有無、実際の社員大工の働き方など、魅力的に言語化できるようにすることが必要です。建設業の労働時間上限規制も2024年4月からとなりますので、この機会に改めて社内整備を徹底しましょう。
また、建設という俗にいう泥臭い印象だけでなく、ゆくゆくは設計や現場監督などの幅広い業務を担えることや、発想力を生かしながら社会に貢献できるなどの魅力を、現場で活躍する社員大工や代表者などが自身の口からアピールすることで説得力が増し、より訴求ができるようになります。実際に、静岡県にある平成建設では東大・京大卒などの高学歴新卒生を何人も採用している実績があります。これはまさに、代表者が大工として働くことを学生に直接伝えて回っている結果なのです。伝統技術の継承や新しい技術の習得、そして多能工としての活躍を通じて自己成長ができることを伝えましょう。
2.教育機関との連携の強化
自社内だけでの募集活動だと限界がありますので、建築関連の専門学校や大学と業界とが連携をして、若者に向けた魅力的な教育プログラムを提供することも有効です。若者の興味を引くような実践的な授業や、建築現場でのインターンシップなどを通じて、大工として働くことの魅力を直接的に伝えることができます。
技術革新と働き方改革で変わる大工のイメージ
大工のイメージは技術革新と働き方改革によって大きく変化しています。
伝統的な技術や職人の手仕事に対する尊重や価値の重さは変わらないものの、昔ながらの固定観念からは脱却し、デジタル技術や新素材の導入により大工の仕事はより精密で効率的になっています。また、働き方改革により労働時間の見直しや働きやすい環境づくりが進んでおり、大工の働き方も多様化しています。
こうした変化が大工を取り巻く環境をより魅力的にすると同時に、若い世代にとって大工という職業のイメージを前向きに変えるきっかけとなっています。
外国人労働者の活用とその課題
大工不足解消のために考えるべきひとつの策として、外国人労働者の採用が挙げられます。
技能実習制度・外国人建設就労者受入制度・特定技能制度などの制度によって、建設業に従事する外国人労働者数は年々増加しています。2023年10月時点での建設業の外国人労働者は14万4,981人となり、8年前(2016年)と比較すると実に3.5倍も増加しています。
しかし、下記のような課題が存在します。
・在留資格の取得や管理
・言葉の壁や異文化の違いや技術力の違い
在留資格の取得や管理
在留資格に不備があると、外国人労働者本人は不法就労により強制退去となったり、会社側も不法就労助長罪などの罪に問われてしまうことがあるので細心の注意が必要です。
言葉の壁や異文化の違い・技術力の違い
正確な指示伝達や安全意識の共有が困難となることがあり、技術者間の連携や技術の伝承にも影響を与える可能性があります。そのような事象を避けるためにも、日本語教育や技術研修などの教育・指導体制の整備が求められます。
外国人労働者との協力体制や円滑なコミュニケーションを築くことで、彼らの能力を最大限に活かし、大工不足の解消に寄与することが可能となります。
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教育制度と育成のあり方
日本の教育制度では、伝統的な技術や職人としてのスキルが重視されていませんでした。これが大工不足の一因ともいわれています。しかし最近では、専門学校などでの建築技術や大工の育成にも力が入れられるようになってきています。
また、日本木造住宅産業協会は、基礎的な教育訓練を通した若手大工技能者育成を実施しています。こういった取り組みに積極的に関わることで、大工不足の解消へと一歩近づきます。
新しい建築技術と大工の未来
建築業界では様々な技術革新が進んでおり、それに伴い大工の役割も変化しています。
従来の木工技術に加えて、CADや3Dプリンティング、ロボット工学など、新しい技術の導入が進んでいます。これにより、大工の仕事もより高度化し、多様化してきています。
また、環境に配慮したグリーンテクノロジーや省エネルギー技術の進化に伴い、建築材料や工法も大きく変わってきています。
このような変化に対応するためには、若手大工の雇用・教育・育成が不可欠です。新しい技術に柔軟に対応できるような教育プログラムや研修制度の充実、さらに、大工の働き方や労働環境の改善によって、大工不足の解消、そして業界水準の向上につながると期待されています。
業界提案!こうすれば大工は増える
大工不足を解消するために、業界全体での取り組みを実践しましょう。
大工雇用・離職防止のために
・若者へ、大工の仕事の魅力や貢献度を伝えるための啓発活動
・若手が安心して成長できる環境の整備
・大工の労働条件改善や働きがいの向上
・技術者としての社会的評価の向上
上記を実践することで、深刻化している大工不足を少しずつ解消していくことができます。
まとめ
慢性的な大工不足は、建築・住宅業界全体を圧迫していますが、原因を理解したうえでそれに対する対策を実行することは必要不可欠です。
大工の伝統技術を守りつつ、新しい取り組みや考え方を用いながら次世代に継承していくことは建築業界の未来にとって重要なことです。若者に安定した雇用とやりがいを伝えることで大工志望者を増やすことが可能です。また、教育機関や業界との連携強化によって、技術の継承や向上につながる施策が不可欠です。これからは業界全体での取り組みをすることで、大工不足の解消が可能となるのです。
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